【名古屋で相続放棄について安心してご相談いただくために】
当法人では、ご依頼中にお困りごとが生じた際にお気軽にご相談いただける窓口としてお客様相談室を設置しています。
【相続放棄を得意とする弁護士が対応】
当法人では、相続放棄を得意としている弁護士がおります。名古屋でも相続放棄についてしっかり対応をさせていただきます。
【スタッフも相続放棄のお客様をサポート】
日程の調整、必要書類のご連絡など、相続放棄がスムーズに進むようにサポートさせていただきます。名古屋の方も安心してご相談ください。
名古屋駅から弁護士法人心名古屋法律事務所・弁護士法人心(本部)へのアクセスについて
1 名古屋駅太閤通り南口を出てください
⑴ JR線・あおなみ線でお越しの方
当事務所にお越しいただく際には、太閤通り南口の改札が最寄りとなります。
改札を出た後は、まっすぐ進んで駅の出口に向かってください。
⑵ JR線・あおなみ線以外でお越しの方
当事務所の最寄りは、太閤通り南口です。
電車を降りた後は、まずは銀時計を目指していただくとわかりやすいかと思います。
銀時計に到着したら、驛弁と書かれた売店(デリカステーション)の方に向かっていただき、そのまま名古屋驛麺通りの右側の通路を抜けてください。
その先に名古屋うまいもん通り太閤通口の入口がありますので、そちらに着いたら、右を見てください。
そこにある太閤通り南口が最寄りの出口となりますので、そちらを出てください。
2 交差点までまっすぐ進んでください
太閤通り南口を出たら、カフェ・ド・クリエ駅西口店が前にあります。
そちらの店舗を左手にして、道なりに進んでください。
正面にセブンイレブンのある交差点に出ます。
3 セブンイレブンの前を左折してください
横断歩道を渡った後、セブンイレブン前で左に曲がり、まっすぐ進んでください。
正面にミニミニのある交差点に着きます。
4 ご予約いただいた事務所にお越しください
⑴ 弁護士法人心 名古屋法律事務所の場合
ミニミニが1階に入っているビルに当事務所が入っていますので、そのまま、正面の横断歩道を渡ってください。
横断歩道を右折した先に建物の入口がありますので、エレベーターに乗って4階までお越しください。
⑵ 弁護士法人心(本部)の場合
交差点の手前で右折して、まっすぐ進んでください。
すき家名駅西店を通過すると、ローソン椿町店の手前に「West Point1413」と書かれた緑の入口があります。
そちらのビルに当法人が入っていますので、エレベーターを使って7階までお越しください。
栄駅から弁護士法人心 栄法律事務所へのアクセスについて
1 栄駅の中改札口を出てください
電車を降りたら、中改札口の方から出てください。
2 16番出口へ向かってください
松坂屋へは、16番出口が最寄りです。
案内板がありますので、そちらに従い進んでください。
3 16番出口を出てください
「出口16」という黄色の表示が見えたら、階段を上ってください。
4 まっすぐ進んでください
階段を上ると、右手に名古屋三越栄が見えますので、そのまままっすぐ進んでください。
5 松坂屋名古屋店本館に着きます
横断歩道を3つ渡ると、松坂屋の本館があります。
当事務所は、こちらの7階にございます。
矢場町駅から弁護士法人心 栄法律事務所へのアクセスについて
1 1・5・6番出口側の改札を出てください
矢場町駅から松坂屋にお越しいただく場合、直結の通路をご利用いただけます。
電車を降りたら、案内板の表示に従い1・5・6番出口側の改札を出てください。
2 松坂屋方面の通路に向かってください
改札口を出た右手に、Matsuzakayaという看板の通路があります。
そちらが直結の通路となりますので、入って道なりに進んでください。
3 地下2階の松坂屋本館の入口に入ってください
しばらく通路を進んでいただくと、松坂屋名古屋店本館の入口があります。
そちらから当事務所がある本館の7階までお越しいただけますので、入口に入り、進んでください。
相続放棄でかかる費用
1 相続放棄をお考えの方へ
相続放棄とは、文字通り、亡くなった方の相続を放棄すること、すなわち、亡くなった方の財産を一切引き継がないことを意味します。
ここでいう「財産」には、プラスの財産もマイナスの財産も含まれます。
そのため、例えば亡くなった方に借金などのマイナスの財産が多い場合に、相続放棄の手続きがよく利用されます。
では、相続放棄にはどのような費用がかかるのでしょうか。
2 裁判所関連の費用
相続放棄は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません。
その際、相続放棄をする方(=申述人)一人につき、印紙代として収入印紙800円、連絡用切手400円~500円が必要となります。
必要となる切手の金額は裁判所ごとに異なり、名古屋家庭裁判所では、450円(80円5枚、10円5枚)が必要となります。
3 戸籍関連の費用
相続放棄をする際には、申述人の戸籍謄本、亡くなった方の住民票除票又は戸籍の附票、亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本等が必要になります。
申述人が第二順位(父母や祖父母)、第三順位(甥、姪)の相続人である場合には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や、先順位の相続人がいる場合、死亡していることが分かる戸籍謄本等が必要になります。
これらの資料を取り寄せる際に、役所に支払う費用が必要となります。
4 弁護士に依頼する場合の費用
相続放棄の手続きは、亡くなったことを知った日から3か月以内に行わなければなりません。
この期限が過ぎてしまうと、相続をしたものとして取り扱われてしまいます。
また、裁判所に提出する申述書の記載内容を誤ってしまうと、相続放棄が認められなくなる場合もあり得ます。
さらに、亡くなった方が遠方に住まれている場合や、戸籍が転々としていて複数の戸籍謄本を取り寄せなければならない場合、個人で戸籍の取り寄せをすることが難しいという場合もあり得るかと思います。
「期限内に申述できるか不安」「申述書の書き方が分からない」「戸籍謄本の収集ができる自信がない」といった場合には、弁護士に相続放棄の手続きを依頼することをおすすめします。
弁護士に相続放棄の手続きを依頼した場合の弁護士費用は、事務所ごとに異なります。
当法人では、個別の案件の難易度等によって変動しますが、亡くなったことを知ってから3か月以内の相続放棄の場合の費用は2万2千円~、亡くなってから3か月以上経過している相続放棄の場合の費用は6万6千円~となります。
相続放棄に関するご相談は原則無料で承りますので、お気軽にご連絡ください。
相続放棄にかかる期間
1 相続放棄をお考えの方へ
配偶者、親、兄弟等が亡くなった際、相続放棄をしようとお考えの方の中には、相続放棄にどれくらいの期間がかかるのか心配に思われる方もいらっしゃるかと思います。
特に、相続放棄は被相続人が亡くなり、相続開始を知った時から3か月以内(この期間を「熟慮期間」といいます。)に家庭裁判所に申述しなければならないとされていますから、その期間まであまり時間がない方は、そのような心配も大きいでしょう。
そこで、ここでは相続放棄にかかる期間についてご説明します。
2 相続放棄の期間の目安
相続放棄にかかる期間は、事案によっても異なりますが、通常は1~2か月ほどです。
相続放棄をするためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、被相続人の最後の住所地が分かるための戸籍の附票、そして、相続放棄をする方の戸籍謄本等の資料の提出が必要となります。
これらの取り寄せについて、相続放棄される方自身が最寄りの役所ですぐに取り寄せをすることが可能であれば、数日程度で相続放棄の申述まで進めることができる場合もあります。
他方で、相続放棄をする方が戸籍を取りに行く時間がないなど、ご自身で取得することが困難な場合には、弁護士が役所から戸籍謄本等を取り寄せる必要があります。
その場合には、取り寄せにある程度時間がかかることが予想されますので、1~2か月ほどかかることがあります。
3 熟慮期間経過まで時間的余裕が少ない場合
被相続人が亡くなってからしばらく経過し、間もなく熟慮期間の3か月を経過してしまうといった場合、戸籍謄本等の資料は提出できる分だけ添付して、家庭裁判所に提出します。
そして、後日不足している分の資料を追完することで、相続放棄を受理してもらうという方法も考えられます。
とはいえ、相続放棄について弁護士に依頼する場合、早いに越したことはありませんので、相続放棄をお考えの方は、お早めに弁護士にご相談ください。
弁護士法人心が相続放棄を得意とする理由
1 相続放棄をお考えの方へ
「親が亡くなったが、生前に多くの借金があったため、相続放棄をしたい。」「親族が亡くなったが、疎遠であったため相続放棄をしたい。」など、相続放棄をしようとお考えになる理由は様々です。
ここでは、相続放棄をお考えの方へ、当法人が相続放棄を得意とする理由についてお話しします。
2 豊富な知識・経験があること
当法人では、弁護士ごとに担当分野を分け、担当分野に関する案件を重点的に取り扱っています。
1人の弁護士が複数分野の案件を同時に行うと、必然的に一つの分野の知識、経験、ノウハウの獲得にかけられる時間が少なくなってしまい、広く薄いものになってしまいがちです。
そこで、弁護士が担当分野について十分な時間をかけて深い知識、ノウハウ、豊富な経験を獲得することが可能な担当分野性を採用しています。
相続放棄についても、すでに十分な知識、経験を持っている相続放棄担当の弁護士が、ご相談から相続放棄の申述まで担当させていただくことができる点が、当法人が相続放棄を得意とする理由の一つです。
3 スピーディーな申述ができること
相続放棄では、相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければならず、時間的な制約があります
当法人では、担当分野性を採っているため、担当以外の分野に関する知識・経験を獲得するために時間を取られることなく、相続放棄の申述に多くの時間をかけることができます。
したがって、スピーディーな相続放棄の申述が可能であることも、当法人が相続放棄を得意とする理由です。
4 相続放棄のご相談は当法人まで
当法人では、相続放棄に関するご相談は原則として無料となっており、お電話でのご相談、夜間や土日でのご相談も受け付けております。
相続放棄をお考えの方は、当法人までご相談ください。
生前に相続放棄をさせたい場合の注意点
1 生前に相続放棄はできない
相続財産の額は、亡くなるまで確定しません。
そのため、亡くなってからでなければ、相続放棄をする・しないという判断をすることは困難です。
ですので、日本の民法では、被相続人が生きている間に相続人が相続放棄をすることは認められない、というルールになっています。
2 遺留分の放棄は生前にできる
相続放棄と異なり、遺留分の請求権を被相続人の生前に放棄させることはできます。
なお、遺留分の放棄は、被相続人が生きている間に、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
3 相続放棄に代わってできる生前の相続手続き
先に説明したとおり、相続人に対し生前に相続放棄をさせることはできません。
もっとも、ある相続人に相続をさせたくない・してほしくないという場合は、遺言や相続欠格・相続廃除という相続手続きによって、相続放棄と似たようなことを実現することができます。
4 相続放棄の代わりに遺言を遺す
例えば、長男には相続させたくないというご希望がある場合は、「次男にすべての財産を相続させる」といった内容の遺言書を遺すことで、長男は法定相続分を相続することはできなくなります。
ただ、この場合、長男には「遺留分」を次男に請求する権利が残りますので、その点を考慮した遺言書を作成したり、他の方法で遺留分を支払うことができるように準備をしておくことが大切です。
5 相続欠格事由がある場合は相続放棄をさせるまでもない
相続人の一人が、被相続人や他の相続人に対して危害を加えようとした場合や騙そうとした場合など、「相続欠格」事由に該当する場合は、そもそも相続人になることはできません。
具体的には、被相続人や自分以上の順位の他の相続人を故意に死亡させたり、死亡させようとして刑に処せられた場合や、遺言について被相続人に詐欺や強迫を行った場合、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したような場合は、「相続欠格」事由に該当します。
6 相続人の廃除によって相続放棄と類似のことができる
「相続欠格」事由に該当しない場合でも、被相続人に対して重大な侮辱や虐待などの著しい非行があった場合は、「相続人の廃除」という手続きによって、ある相続人を相続人から除外することができます。
手続きは、家庭裁判所に対する申立て、または遺言書によって行います。
なお、相続人を一度廃除すると二度と相続できなくなるわけではなく、ある相続人の非行がなくなった場合は、「相続人の廃除の取消し」という手続きをとることもできます。
生命保険は相続放棄をしても受け取れるのか
1 相続放棄をしても生命保険を受け取ることができる
相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったものとみなされます。
ですので、預貯金や株式等の有価証券、不動産などの財産がプラスになる財産だけではなく、借金やローン等のマイナスの財産も相続することはありません。
ただ、生命保険は、亡くなった方の相続財産ではなく、受取人が保険会社に対して請求することのできる権利ですので、相続放棄をしたとしても受け取ることができます。
2 生命保険の受取人には要注意
生命保険はあくまでも受取人の権利です。
そのため、亡くなった方がどのような生命保険契約を結ばれていたか、具体的には受取人が誰になっているのかに気をつける必要があります。
例えば、父親が亡くなった際に長男が受け取るといった典型的な生命保険の場合、被保険者が父親、契約者が父親、受取人が長男になっています。
この場合は、父親が亡くなった際に長男が相続放棄をしても、長男は生命保険会社に対して生命保険金を請求することができます。
3 相続放棄によって受け取ることができなくなる保険も
注意が必要となるのは、受取人が「被相続人」となっているタイプの生命保険です。
例えば、被保険者が長男、契約者が父親、受取人が父親といった生命保険があります。
これは、長男に死亡等の保険事故が発生した場合に父親が生命保険金を受け取ることのできる生命保険です。
このような生命保険の場合、受取人は父親ですから、父親が亡くなると、受取人である父親が有していた生命保険金の受給権は、父親の相続財産として、子どもらの相続の対象となります。
そのため、父親の配偶者や長男等の子どもが相続を放棄すると、生命保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
4 相続放棄をする前に保険証券を要確認
このように、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができるかどうかは、加入されている生命保険の契約内容によって異なりますので、相続放棄をするまえに契約内容をよく確認しましょう。
ご家族やご親族が相続放棄をした場合の注意点
1 口頭では相続放棄にならないことに注意
ご家族やご親族などの相続人が、他の相続人に対して「私は相続放棄をするから」と言っただけでは相続放棄にはならないことに注意が必要です。
相続放棄の手続きは、あくまでも家庭裁判所で行わなければなりません。
ご家族やご親族が相続放棄をしたと言われた場合は、まず、家庭裁判所できちんと手続きを行ったのかどうかを確認しましょう。
2 家庭裁判所から相続放棄の連絡は来ない
ご家族やご親族などの他の相続人が相続放棄をされた場合でも、家庭裁判所から他の相続人に対して「〇〇さんが相続放棄をしました」という連絡がなされることはありません。
そのため、他の相続人が相続放棄をしたかどうか、気がつかないことがあり得ます。
3 他の相続人が相続放棄をすると自分も相続人になることがある
配偶者は常に相続人となりますが、その他の相続の順位は、第一順位が子、第二順位が親などの直系尊属、第三順位が兄弟姉妹となっています。
そのため、子が全員相続放棄をした場合は、親が相続人となりますし、親も相続放棄をした場合は、兄弟姉妹が相続人となります。
ですので、ご自身が知らない間に、他の相続人が相続放棄をしていたため、自分が被相続人の借金を相続することになる、という状況になっていたということがあり得ます。
4 他の相続人が相続放棄をしているか確認する方法
家庭裁判所に「照会」をすることで、相続放棄がなされているか確認することができます。
5 相続放棄の「照会」ができる家庭裁判所
どこの家庭裁判所でも照会ができるというわけではありません。
被相続人の最後の住所地を管轄している家庭裁判所に申し立てる必要があります。
最後の住所地は、市区町村役場で被相続人の住民票の除票や戸籍謄本の附票を取得することで確認ができます。
また、管轄している家庭裁判所の確認は、裁判所のホームページでも可能ですし、見方が分からない場合は家庭裁判所に電話で問い合わせることをおすすめします。
相続放棄をしようかお悩みの方へ
1 相続放棄のハードルは高くない
相続放棄は、家庭裁判所に対して、所定の書類を提出することでできる手続きです。
特殊な事情がある場合を除き、法律手続きの中では、それほど複雑で難しい手続きではありません。
相続放棄の難しさは、手続きそのものよりも、被相続人の財産や法律関係に付随する問題への対処の方にあります。
そして、相続放棄は各相続人が単独で行うことができるため、ほかの相続人や親族に同意を得る必要もありません。
また、相続放棄をしているか否かは、裁判所に対して相続放棄申述照会をすることで分かりますが、戸籍などの公的な書類に載ることはありません。
2 相続放棄は理由不問
上記1のとおり、相続放棄は、他人にお伺いをたてることなく、ご自身の意思で行うことができます。
そして、特にやむを得ないような事情がなくても、相続放棄はできます。
法律上、相続放棄をする理由は限定されていないためです。
実務上では、相続放棄を行う理由として典型的なものは次の2点があります。
⑴ 被相続人に負債がある(財産よりも負債の方が多い)
被相続人に多額の借金があったり、プラスの財産よりも負債の方が多いというものです。
債務超過と呼ばれることもあります。
また、被相続人と疎遠であるなどの理由で、被相続人の財産状況が分からず、もしかすると多額の債務を負っているかもしれない、というケースもあります。
相続放棄をすると、法律上、初めから相続人ではなかったことになります。
そのため、時間が経過してから被相続人の借金の存在が発覚しても、一切返済する義務は負わないで済むため、安心することができます。
⑵ 相続関係からの離脱
被相続人と長年疎遠であり素性が分からない場合や、過去に何らかの事情によって家族との関係が悪化してしまっているような場合にも、相続放棄は用いられます。
このような場合、遺産分割や相続の手続きが非常に難航するだけでなく、何らかの形で被害を受ける可能性もあるためです。
相続放棄により、相続人ではなくなることによって、相続手続きに関与せずに済みます。
相続放棄のデメリット
1 相続放棄をすると相続人が変わる
相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことになります。
そのため、被相続人の子が相続放棄をすると、第2順位者である被相続人の親が相続人となります。
さらに、被相続人の親が相続放棄をしたり、既に亡くなっていたりすると、第3順位者である被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
相続放棄の手続きは、家庭裁判所に対して行いますから、被相続人の子が相続放棄をしても、親や兄弟姉妹は自身が相続人となったことに気がつかない可能性があります。
そうすると、被相続人の債権者から、親や兄弟姉妹に対して、借金等の請求がなされてしまうこともありえます。
相続放棄を考えている場合は、他の相続人やご家族のことを考慮しておかなければトラブルになる危険がある点に注意が必要です。
2 相続放棄をした場合は生命保険金・死亡退職金の非課税枠は使えない
被相続人が契約者、相続人が受取人となった生命保険金や被相続人が亡くなったことによって支払われた死亡退職金は、相続税の課税対象となります。
その際に、法定相続人(相続放棄をした人を含む)の人数×500万円の金額は非課税となりますが、相続放棄をした者は、この非課税枠を利用することはできません。
あくまでも、相続放棄をしていない他の相続人だけが非課税枠を利用することができます。
相続放棄をした場合でも、生命保険金等を受け取っている場合は、相続税の金額を計算しておかなければ課税されるおそれがありますので注意が必要です。
3 相続放棄は撤回ができない
相続放棄は、一度申述書が家庭裁判所に受理されると撤回することはできません。
そのため、勘違いしていた、心変わりしたなどの理由で相続放棄をなかったことにすることはできません。
例外的に、よほど重大な事実に誤りがあったような場合や、第三者から詐欺にあっていたような場合は、取消しを主張することができる可能性もありますが、裁判所への訴訟手続き等が必要になるため、非常に困難です。
相続放棄をされる前に弁護士に相談し、誤解等ないように手続きを進められることをおすすめします。
相続放棄のお悩みの相談先
1 適切に手続きを行うために
相続放棄に失敗すれば、亡くなった方の借金を背負うことになります。
もし亡くなった方に何千万円や、何億円という借金があった場合、相続人の方が自分の財産で借金の返済をすることは困難なことが多いでしょう。
そうなった場合は、自己破産をしなければならない可能性が高くなります。
適切に相続放棄の手続きを行うためにも、相談先は慎重に選ぶ必要があります。
2 国家資格を持つ専門家に相談しましょう
相続には、数多くの民間資格がありますが、民間資格者は相続放棄の業務を取り扱うことはできません。
相続放棄の業務を扱ったことがない民間資格者から、間違ったアドバイスを受けた場合、相続放棄ができなくなる可能性があり、取り返しがつかなくなります。
相続放棄を相談する場合は、国家資格を持つ専門家に相談しましょう。
3 相続放棄について弁護士に相談するメリット
弁護士であれば、相続放棄を扱うことができます。
特に、弁護士は、相続放棄に関する全てのことを依頼者の方に代わって行うことができる、唯一の国家資格です。
相続放棄の手続きは必要書類を集めて、裁判所に提出するだけではありません。
裁判所からの質問に回答したり、裁判官との面談を行うといった手続きがあります。
弁護士以外の専門家に相続放棄を依頼しても、これらの手続きは全て依頼者の方が自分で行わなければなりません。
弁護士であれば、これらの手続きを代わりに行うことができます。
4 相続放棄に強い弁護士に相談しましょう
ご家族が亡くなった際、相続をするか、相続放棄をするかを選ぶことになります。
しかし、特定の行為を行うと、自動的に相続をしたという扱いがなされることがあります。
どういった行為を行えば、自動的に相続したことになるのかについては、専門書に記載されていないようなことも多いため、相続放棄の実績が豊富な弁護士に相談することが大切です。
特に、相続放棄は、家庭裁判所で手続きを行いますが、そこで相続放棄の効力が確定するわけではなく、相続放棄が無効だという裁判を起こされることがあります。
そういった後々の裁判まで想定して、今の時点から証拠を残しておく必要があるため、相続放棄に強い弁護士に相談することをおすすめします。
相続放棄の流れ
1 相続放棄の大まかな流れ
相続放棄の流れとしては、以下のようになります。
①必要書類の収集
②相続放棄申述書の作成・署名・押印
③家庭裁判所への申立て
④家庭裁判所から送られてくる照会書に回答と返送
⑤問題がなければ家庭裁判所が相続放棄の受理
⑥相続放棄の受理証明書の取得
2 ①相続放棄の必要書類
相続放棄の申述書と申立添付書類が必要です。
相続放棄の申述書は、家庭裁判所のホームページで入手することができます。
また、申立添付書類は、被相続人の住民票除票または戸籍の附票と相続放棄をする方の戸籍謄本が必ず必要となります。
さらに、相続放棄の手続きを行う者と被相続人の関係を示す戸籍謄本が必要となりますが、こちらの書類は被相続人と相続放棄を行う者との関係によって、書類の数や種類が異なります。
3 ②相続放棄申述書の作成・署名・押印
相続放棄の申述書に、相続放棄を行う方の署名・押印や本籍・住所・被相続人との関係等を記載します。
また、申述の理由を記載しなければなりません。
4 ③家庭裁判所への申立て
必要書類を用意したら、裁判所に対する費用・家庭裁判所の連絡用の郵便切手を添えた上で家庭裁判所に提出します。
費用は、相続放棄を行う方1人につき800円で、収入印紙によって支払います。
申立先の家庭裁判所は、どこでもよいというわけではありません。
被相続人の最後の住所地を管轄していた家庭裁判所に申し立てる必要があります。
5 ④家庭裁判所から送られてくる照会書に回答と返送
家庭裁判所に相続放棄の申立てを行うと、裁判所から「照会書」という方法で質問事項が送られてくることがあります。
その際には、適切に回答しなければなりません。
回答が誤っていると、相続放棄が認められなくなる可能性もありますので、注意が必要です。
6 ⑤問題がなければ家庭裁判所が相続放棄の受理
特に申述書の内容や他の必要書類にも問題がなく、照会書の回答にも問題がなければ、家庭裁判所が相続放棄を受理し、手続きは終了となります。
7 ⑥相続放棄の受理証明書の取得
家庭裁判所が相続放棄を受理した後、例えば、被相続人の債権者から借金の取り立て等の連絡があった際は、「相続放棄の受理証明書」を家庭裁判所から取り寄せ、債権者に提出し、相続人には債務がないことを証明することができます。
相続放棄を相談する際の弁護士の選び方
1 対応がスピーディーな弁護士に相談しましょう
相続放棄は、3か月という期間制限がある手続きです。
もし、3か月の期限を守れなかった場合、莫大な借金を相続することになってしまいます。
そのため、相続放棄の手続きで求められるのは、何よりもスピードです。
相続放棄の手続きに慣れている弁護士であれば、緊急性が高い場合、ご契約後すぐに、裁判所に書類を持参するなどの対応が可能です。
弁護士に依頼する場合、このようなスピーディーな対応が可能かどうかが、非常に重要なポイントとなります。
2 連絡がとりやすい弁護士に相談しましょう
相続放棄の期間制限は、非常に厳格です。
この期間制限を守るために、場合によっては、夜間や土日祝日であっても書類を裁判所に持参する必要がありますが、その際、依頼者の方と弁護士との間で、急ぎの打合せが必要な場合があります。
そのため、相続放棄を弁護士に依頼する場合は、弁護士といつでも連絡がとれるよう、事務所の電話番号だけでなく、携帯電話の番号も伝えてくれるかどうか等をチェックしましょう。
3 相続放棄の実績が豊富な弁護士に相談しましょう
法律の分野は幅が広く、全ての弁護士が、相続放棄の実績が豊富とは限りません。
借金を背負うことになるかどうかの大切な問題ですので、相続放棄を依頼する場合は、相続放棄の実績が豊富な弁護士に相談することが大切です。
特に、相続放棄では、専門書にも記載されていないようなことについての知識が必要になり、相続放棄に力を入れていない弁護士では、十分な対応ができない可能性があります。
4 相続放棄専用のホームページをチェックしましょう
今では、多くの法律事務所が、ホームページを作成しています。
特に力を入れている分野については、事務所のホームページとは別個に、その分野専用のホームページを作成していることがあります。
そのため、その法律事務所が相続放棄に力を入れているかどうかは、相続放棄専用のホームページがあるかどうかが、一つの目安になります。
相続放棄を依頼する場合、弁護士と司法書士は権限が違います
1 相続放棄を扱えるのは弁護士と司法書士
亡くなった方に借金がある場合、相続放棄をしなければ、相続人がその借金を背負うことになってしまいます。
相続放棄は1回限りの手続きのため、失敗が許されません。
そこで、適切かつスピーディーに相続放棄を行うためには、専門家に依頼した方が安心です。
相続放棄を依頼する場合、選択肢として弁護士と司法書士がいますが、こちらではどのような違いがあるのかについてご説明いたします。
2 司法書士はできることが制限されています
法律上、司法書士ができるのは、相続放棄の手続きの一部のみです。
具体的には、司法書士は裁判所に提出する書類を作成することができますが、ご依頼者様の代理人になることはできません。
「書類を作ってもらえるなら、それで十分」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、相続放棄の手続きは、裁判所からの質問状に回答したり、裁判官からの呼び出しに応じて裁判官と面談するなどといった手続きがある場合もあります。
司法書士は、ご依頼者様の代理人になることができないため、こういった「裁判所とのやりとり」を、ご依頼者様の代わりに行うことができません。
3 弁護士には相続放棄の全てを任せることができます
弁護士は、ご依頼者様の代理人になることができるため、依頼者の方に代わって、相続放棄に関する全ての手続きを行うことができます。
4 弁護士と司法書士では、債権者への対応についても権限が異なります
亡くなった方が金融機関から借金をしていた場合は、相続人に対し、債権者から督促が届く可能性があります。
特に、亡くなった方が、複数の金融機関から借金をしていたような場合は、複数の金融機関から督促が届くことになります。
弁護士であれば、こういった債権者への対応を全て代理で行うことができます。
他方、司法書士は、債権額によっては、債権者とのやりとりができない場合があります。
5 「相続放棄が無効だ」という裁判への対応の差
相続放棄を行っても、後になって「相続放棄が無効だ」という裁判を起こされる可能性があります。
弁護士は、日常的に業務として裁判を行っているため、後で裁判になった場合を想定し、相続放棄を行う段階から、証拠集めを行います。
他方、司法書士は、一部の例外を除き、裁判をすることが原則として認められていないため、後の裁判を想定した証拠集めを十分に行うことができない可能性があります。
相続放棄を弁護士に任せるメリット
1 裁判所とのやり取りを全て任せられる
相続放棄の申述は、家庭裁判所に対して申し立てます。
この相続放棄の申述を「代理人」として行うことのできる専門家は弁護士だけです。
相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所から相続放棄の照会書という質問事項が記載された書類と、その質問を回答するための回答書が送られてきます。
質問事項は、相続放棄の意思確認を改めて行うものや、被相続人の死亡を知った日や被相続人の財産・負債があることを知った日や経緯などを確認するとともに、それが分かるような証拠となる書面の提出を求められることもあります。
また、記載内容について、家庭裁判所から連絡がくることもあります。
これらの回答を誤ると、相続放棄が認められなくなる可能性もあります。
弁護士が代理人となった場合、家庭裁判所に対する回答ややり取りを全て任せることができますし、相続放棄に詳しい弁護士であれば回答を誤ることもありませんので安心です。
2 借金取りとのやり取りも対応してもらえる
相続放棄の手続きを行っている最中や、相続放棄が家庭裁判所に認められた後でも、亡くなった方にお金を貸していた債権者から借金を返すように連絡がくることがあります。
例えば、消費者金融・クレジットカード会社・保証会社・銀行などから連絡がきます。
また、税金を滞納していた場合は市区町村や税務署から連絡がくることもあります。
相続放棄の手続きを行ったからといって、これらの請求・連絡を放置していると、裁判などの法的な手続きをとられてしまうこともあり得ます。
そこで、このような場合には、家庭裁判所に相続放棄を受理してもらったことの証明書を取り寄せ、債権者に連絡する必要があります。
ただ、弁護士以外の専門家の場合は、債権者との対応を相続人に代わって行うことはできません。
弁護士であれば、債権者対応も代理で対応することができますので安心です。
相続放棄の注意点
1 借金だけ相続放棄することはできない
相続放棄をした人は、「初めから相続人とならなかったもの」とみなされます(民法939条)。
そのため、相続放棄をすると、借金やローンなどのマイナスの相続財産だけではなく、現金・預貯金・土地・建物・有価証券等のプラスの相続財産も相続することができなくなります。
マイナスの相続財産だけ放棄して、プラスの相続財産だけ相続するということはできませんので、注意が必要です。
2 生命保険は受取人によって異なる
被保険者が被相続人・受取人が相続人の生命保険金は、被相続人の相続財産ではなく、受取人である相続人の権利です。
例えば、父親が亡くなったら子どもが生命保険金を受け取るという契約の場合、生命保険金の受取請求権は子どものものです。
相続財産ではないため、子どもが相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。
ただ、受取人が被相続人となっている生命保険金は、被相続人の相続財産となりますので、相続人が相続放棄をすると受け取ることができなくなってしまう点に注意が必要です。
3 生前に相続放棄をさせることはできない
特定の相続人に対して、被相続人が生きている間に相続放棄をさせたいという要望もよく聞きます。
ただ、相続放棄は、相続開始後にしか行うことはできません。
したがって、被相続人が生きている間に相続放棄をさせることはできません。
特定の相続人に、財産を相続させたくないというご要望がある場合は、遺言書を活用することになるかと思います。
4 相続財産を処分すると相続放棄できなくなる
相続が発生した場合、相続人には大きく3つの選択肢があります。
それは、単純承認・限定承認・相続放棄です。
単純承認は、被相続人のプラスの相続財産・マイナスの相続財産のいずれもすべて引き継ぐというものです。
限定承認は、被相続人のプラスの相続財産の範囲内でマイナスの相続財産を引き継ぐというものです。
相続開始後に相続財産を処分すると、「単純承認をする意思がある」とみなされ、その後、相続放棄をすることができなくなってしまいます。
そのため、相続放棄を検討されている場合は、被相続人の預貯金名義の変更や不動産の登記名義の変更をせずに、まずは弁護士まで相談されることをおすすめします。
相続放棄と限定承認でお悩みの方へ
1 相続放棄と限定承認の違い
相続財産に借金のようなマイナスの財産が含まれる際に、「相続放棄と限定承認のどちらを選ぶべきでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産もすべてを相続しなかったことにする手続きですので、マイナスの財産=借金が確実に多い場合は、相続放棄を検討すべきです。
限定承認は、被相続人の遺産の範囲内で被相続人の債務を弁済すればよいという手続きです。
限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのかよくわからない場合に用いられることがあります。
2 安易に限定承認をすすめるサイトに注意
相続を取扱っているサイトの中には、被相続人の遺産のうち債務の方が多いかもしれない場合に限定承認をすすめることがあるようです。
ただ、相続財産に不動産など、時価で販売することができるような財産がある場合は、「税金」の観点から、安易に限定承認を選んではいけません。
3 限定承認をすると所得税がかかることがある
所得税法59条1項1号では、限定承認があった場合には、被相続人が相続開始の日(亡くなった日)に時価でその資産を売却したものとみなして課税する旨が定められています。
したがって、相続人は、納税義務を被相続人から引継ぎ、その支払いを行わなければならないことになります。
もっとも、相続人はあくまでも相続によって取得した財産の限度で納税すればよく、相続人の固有の財産から納税する義務はありません。
4 限定承認の期限・準確定申告の期限は短い
相続人は、「準確定申告」という手続きで所得税を納めなければなりません。
その期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から4か月以内です。
そして、限定承認をする場合は、被相続人が亡くなった日の翌日から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければならないのが原則です。
したがって、3か月以内に相続財産を調査して税金の観点も考慮に入れつつ、限定承認をすべきか、相続放棄をすべきか判断し、限定承認の期限から1か月以内に準確定申告書のための税金の計算や納税のための準備を行わなければなりません。
数か月先だから余裕があると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際のところスケジュールは非常にタイトになります。
これらの手続きを適切に進めるためにも、税金にも詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
相続放棄をしても借金が消えないケース
1 相続ではプラスの財産もマイナスの財産も相続する
相続すると、相続人は、「相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」します(民法896条)。
つまり、被相続人が持っていた現金・預貯金・不動産・株式などのプラスの財産だけではなく、借金・ローンなどのマイナスの財産もすべて相続することになります。
亡くなった方が残した借金を相続した場合、相続人はそれを返済しなければならなくなる点には注意が必要です。
2 マイナスの財産が多い場合の相続放棄の効力
相続財産のうち、プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合は、相続人がそのマイナス分を自らの財産から債権者に対して支払わなければなりません。
例えば、被相続人の未払いローンを債権者に支払ってでも実家に住み続けたいなどの希望がある場合は、相続人がローンの残額を支払って、実家を相続することになります。
ただ、マイナスの財産の額を相続人が負担することはできないような場合は、「相続放棄」をする方法があります。
相続放棄をすると、「初めから相続人とならなかったもの」とみなされますので(民法939条)、プラスの財産もマイナスの財産も両方とも相続しないことになります。
3 相続放棄しても消えるのは被相続人の借金だけ
相続放棄をすれば、被相続人の借金を引き継がないということができますが、相続人個人が負っている借金を消すことはできません。
例えば、借金の主債務者が親で、子が連帯保証人になっている場合、債権者と連帯保証契約を締結しているのは子ですので、子どもが連帯保証人として負っている借金は、子ども自身の債務となり、相続放棄をしても消すことはできないということになります。
親の借金の保証人になっている場合、子は、たとえ相続放棄をしても自分自身の保証債務として借金を返済する義務が残ります。
保証債務を返済することができない場合には、別の方法を考える必要があります。
4 当法人にご相談ください
親が事業等を行っていた場合は、特に借金をしている可能性がありますので、相続放棄をすべきかどうか注意する必要があります。
また、ご自身が親の借金の保証人になっていないかどうかも注意が必要です。
相続放棄でお悩みの方は、当法人までお気軽にご相談ください。
相続放棄をするべきかどうか、手続きをするにあたってどのような点に気を付けるべきかなど、お悩みに丁寧に対応いたします。
相続放棄の相談は誰にすべきか
1 考えられる相談先は3つ
相続放棄を考えた際、相談する先として、①家庭裁判所、②司法書士、③弁護士が考えられます。
①は相続放棄の申述書の提出先、②・③は資格を有した専門家になります。
以下では、それぞれの違いを説明します。
2 相続放棄を家庭裁判所に相談する場合
相続放棄の手続きを自分で行う場合には、家庭裁判所に相談する方法が考えられます。
相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行いますので、まずは被相続人がお住まいになっていた住所の近くにある家庭裁判所に確認されることをおすすめします。
ただ、家庭裁判所は具体的な法律相談や身の上の相談に乗ってくれるわけではありません。
また、申述書の書き方や必要書類の集め方を事細かく教えてくれるわけでもありません。
さらに、亡くなった方が消費者金融から借金をしていた場合や、未払いの公共料金などがあった場合には、債権者への対応も本人が行わなければなりません。
ですので、そもそも相続放棄をするか悩んでいる方や、相続放棄をすることは決めていても面倒で専門的な書類集めや申述書作成は専門家に任せたい方、債権者との対応はご自身で行いたくない方ですと、家庭裁判所に相談することはおすすめできません。
3 相続放棄を司法書士に相談する場合
司法書士の中には、相続放棄の申述書の作成を本人に代わって行っている方もいます。
ただ、司法書士の場合、本人の代理人として手続きを行うことはできません。
相続放棄の申述書も、あくまでも「本人名義」で作成することになります。
そのため、裁判所から問合せがあった際や、照会状が送られてきた際には、本人が対応しなければなりません。
また、司法書士は消費者金融など債権者とのやりとりを代理することもできません。
このように、司法書士は対応できる範囲が限られるため、裁判所や債権者への対応に不安がある方などにはおすすめできません。
4 相続放棄を弁護士に相談する場合
弁護士は、依頼者の方に代わって必要書類を集めること、申述書を作成すること、債権者に対応すること、相続放棄のすべての手続きを代理することができます。
裁判所からの問合せや債権者とのやり取りもすべて任せることができますので、面倒な手続きを一括して任せたい方や、債権者と関わり合いになりたくない方は、弁護士に相談されることをおすすめします。
相続放棄の費用について書かれたウェブサイトのなかには、弁護士に依頼した場合の費用が高額であるかのように書かれたサイトもあります。
しかし、金額は各弁護士事務所によってかなり異なります。
そのため、一度、無料相談等を利用し、金額の見積もりを依頼することをおすすめします。
相続放棄の手続きで必要な確認事項
1 まずは相続放棄の期間を確認する
相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から「3か月以内」にしなければなりません。
この「・・・知ったとき」とは、「相続人が相続開始の原因たる事実の発生」と「自己が相続人となったことを覚知したとき」とされています(大決大5・8・3)
基本的には、家族が亡くなった時点で誰が相続人になるのか分かるため、親や兄弟などの「被相続人が亡くなったことを知ったとき」から3か月以内となります。
2 相続放棄の申述人となれるかを確認する
相続人が申述人となります。
相続人が未成年や成年被後見人の場合は、法定代理人が代理となって行います。
ただ、未成年者とその法定代理人が共同相続人の立場の場合は、法定代理人が未成年者に相続放棄をさせて、自分が独り占めしたり、未成年者が複数いる場合は特定の未成年者だけを相続放棄させたりする危険があります。
そのため、未成年者の相続人を保護するために、「特別代理人」を家庭裁判所に選任してもらい、その者が申述を行うことになります。
3 相続放棄の手続きを行う裁判所を確認する
相続放棄は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で行います。
例えば、最後の住所地が名古屋市内であれば、名古屋家庭裁判所が管轄の裁判所になります。
最後の住所地が分からない場合は、市町村役場に行き、被相続人の除籍謄本の附票や住民票の除票を取得して確認します。
4 相続放棄の申述に必要な書類を集めましょう
相続放棄の申述書と、それに添付するための必要書類があります。
相続放棄の申述書には、申述人の氏名・本籍・住所・生年月日等の個人情報や被相続人の氏名・本籍・住所・死亡日等だけでなく、申述の理由を記載する必要があります。
また、添付書類としては、被相続人の最後の住所地の確認のため住民票の除票または戸籍の附票が必要となり、申述人の戸籍謄本も必要となります。
その他の書類は、申述人と被相続人の続柄によって異なりますが、基本的には被相続人と申述人の関係性が分かる全ての戸籍謄本を集めることになります。
戸籍謄本は、市町村役場で集めることができますが、昔の戸籍謄本は手書きで書いてあったり、読み解くのが専門的で難しかったりする場合もありますので、ご心配な方は弁護士に相談されることをおすすめします。
相続放棄の方法
1 相続放棄の方法は法律で決められている
相続放棄の方法は、法律で決められています。
その具体的な方法は「家庭裁判所に所定の書類を提出すること」であり、それ以外のやり方では、相続放棄はできません。
例として、以下に挙げるものも相続放棄をしたことにはならないため注意が必要です。
2 「遺産は不要」と親族に伝えても相続放棄したことにはならない
例えば、夫が亡くなり、妻と3名の子で遺産の分け方を話し合ったとします。
そのとき、3名の子が「遺産は不要です」と発言し、全ての遺産を妻が相続することになった場合、3名の子は相続放棄をしたかのように見えます。
しかし、これは法律で決められた相続放棄のルールを守っていないため、3名の子は相続放棄したことにはなりません。
3 「遺産は不要」という書面を作成しても相続放棄したことにはならない
口頭で伝えただけではなく、「遺産は不要」という書類を作成した場合、書類上は相続放棄をしたようにも見えます。
しかし、相続放棄をするためには、所定の書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。
そのため、親族間で、「遺産は不要」という書類を作成しても、法律上の相続放棄とは認められません。
4 相続放棄と似た制度
相続放棄と似た制度として、相続分の放棄というものがあります。
相続分の放棄は、遺産のうち、プラスの財産の権利を放棄することを指します。
例えば、夫が亡くなり、妻と3名の子が相続人の場合に、3名の子が相続分の放棄をすれば、全てのプラスの遺産を、妻が相続することになります。
相続分の放棄と、相続放棄は、名前は似ていますが、相続分の放棄をしても、相続放棄したことにはなりません。
5 適正に相続放棄を行わないと借金を背負うおそれがある
上記2から4の方法で、「遺産は不要」という意思表示をした場合、その意思表示をした人は、プラスの財産を受け継ぐことはできなくなります。
そういう意味では、遺産を放棄したといえます。
しかし、これらの方法は法律上の相続放棄ではないため、借金については、受け継ぐことになります。
そうすると、プラスの財産は受け継がず、マイナスの財産のみ負担することになりますので、注意が必要です。
そのようなことを防ぐためにも、きちんと裁判所で相続放棄の手続きを行うことが大切です。
遺産を一切受け継ぎたくないとお考えの方は、相続放棄の手続きについて弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
相続放棄でお悩みの方へ
1 相続放棄で気を付けるべきこと
相続放棄を検討している時には、気をつけなければいけないことがあります。
それは、相続財産に手を付けてはいけないということです。
相続財産に手を付けると、相続放棄ができなくなってしまうおそれがあります。
相続財産に手を付けるというのは、例えば
・預貯金や現金を使ってしまう
・遺産の形見分けをおこなってしまう
・故人が借りていた家を解約する
・返還金や還付金を受け取る
などです。
これらには、もちろん、例外もあります。
価値のないものを捨てることや遺産の一部を葬式費用の支払に充てるのも問題ない場合もあります。
しかし、その見極めが難しいこともありますし、葬儀費用については金額によっては結論が異なることもあるため、相続放棄を検討されている方は、専門家にご相談ください。
2 相続放棄の期間
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所に対して、申述をしなければなりません。
その期間内に相続放棄の手続きを取らなかった場合、原則として被相続人の財産・負債を引き継がなければならなくなります。
もっとも、死亡した時には借金があることを全く知らなかったが、3か月経過後に債権者から連絡が来て初めて借金があることを知った場合など、相続放棄を決意するための情報がなかったような場合には、例外的に亡くなったことを知ってから3か月経過していたとしても、相続放棄をすることは可能です。
ただし、その場合でも、借金があることを知った時から3か月以内に相続放棄の手続きをしなければなりませんので、注意が必要です。
3 弁護士へのご相談
当法人は、次のようなお悩みを抱える方から、多くのご相談をいただいております。
「亡くなった親の借金を背負いたくない」
「相続放棄の期限から3か月が経過しており、知り合いの専門家に聞いたら相続放棄が不可能と言われた」
「過去にいざこざがあり、今までほとんど関わり合いのなかった家族の借金について、急に通知が来た」
「家族が亡くなったが、関係性が疎遠だったため、相続放棄をしたい。」
こういった悩みを抱えている方をひとりでも多くサポートし、相続放棄が無事成功できるようお手伝いできたらと考え、弁護士法人心では相続放棄に関してご案内するサイトを運営しています。
弁護士が原則相談料無料で相続放棄のご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
失敗しない専門家の選び方
1 相続放棄に付随する対応も行っているか
相続放棄の手続きは、戸籍等の必要書類の取り寄せ、家庭裁判所へ提出する相続放棄の申述書の作成がメインとなります。
しかし、相続放棄に付随して以下のような対応が必要になる場合もあります。
・被相続人の債権者から、相続人として債務の支払いを求められた際の債権者への対応
・相続放棄の申述をした際に、裁判所から「照会書」という質問事項が届く場合があり、それに対する対応
・相続放棄が完了した後に、新たに相続人となる親族への対応
・相続放棄完了後に債権者に対して、相続放棄をした旨の連絡をするなどの対応
そのため、相続放棄を弁護士に相談するときは、こういった幅広いサポートを提供しているかも確認しておく必要があります。
2 裁判も対応可能か
相続放棄が裁判所に受理された後に、被相続人の債権者から相続放棄は無効だとして裁判を起こされる場合があります。
そのため、裁判を起こされた時に対応してもらえるかどうかも確認しておく必要があります。
裁判となった場合、基本的に弁護士しか対応できないため、相談するところに弁護士が在籍しているかも確認したほうが良いでしょう。
3 夜間相談や電話相談を実施しているか
相続放棄は3か月の期限があります。
事務所に行って相談となると、日程を調整して、実際に来所して相談するまでに時間がかかり、相続放棄の期限に間に合わなくなる可能性があり、場合によっては相談自体を断られてしまう可能性もあります。
他方、夜間であっても対応可能であったり、電話のみで相談できたりする事務所は、期限までの期間が短くても対応してくれる可能性が高いです。
そのため、相談するところが、夜間相談や電話相談を受け付けているかも確認してみるのもいいでしょう。
弁護士法人心では、夜間のご相談、電話のみでのご相談も受け付けておりますし、全国どこの方でもご相談いただけます。
相続放棄のご相談は、弁護士法人心までお気軽にお問い合わせください。
相続放棄が認められた事例紹介
1 事例のご紹介
当法人は相続放棄を多く扱ってきており、これまで蓄積された知識、経験とノウハウ、またそれに裏付けられた実績を有しています。
そこでほんの一例ですが、相続放棄が認められた事例を紹介します。
2 相談内容
⑴ 相続人関係
依頼者の親族関係は、ご両親とその子供であるお兄様と依頼者という4人家族でした。
そして、依頼者のお母様やお兄様はすでに他界しており、今回、お父様が亡くなったため、相続人は妹である依頼者のみでした。
⑵ 依頼者の当時の認識
依頼者は、当初、お父様にはこれといった資産も借金もないと思っていたため、自分が相続で得られるものは何もないと思っていました。
そのため、依頼者は、お父様の遺産から費用を出して葬式をすませました。
⑶ 裁判所からの突然の通知
お父様が亡くなった後、数日して、裁判所から強制執行の通知が依頼者の元へ届きました。
内容としては、お父様の相続人として、お父様の借金を代わりに支払えというものでした。
依頼者が言うには、お父様が過去に、銀行から事業用の建物についてローンの借入れをしていたようで、お父様が支払わないため、その債権を債権回収業者が譲りうけ、お父様に請求してきたということでした。
そして、ローンの残債はおよそ3000万円でした。
⑷ 止まらない借金の通知
さらに、お父様の借金はこれだけにとどまらず、後日次から次へと固定資産税の請求書や信販会社等からの内容証明郵便が依頼者のもとへ届きました。
最終的に発覚したお父様の負債の合計は約6000万円となりました。
依頼者は、「父も借金などの債務は、恥ずかしくて家族に打ち明けられなかったのだと思う。しかし、借金をしたのは父なのに、本当に私が支払わなければならないのか分からないし、約6000万円という大金を支払う余裕はない。このままでは私が自己破産をするしかなくなり、人生が台無しになるのではないかと不安です。」と泣きながら語っていました。
3 問題点
①強制執行の通知が届いたが、これをどう対処すればよいか。
②仮に相続放棄が認められたとしても、後日、債権者から相続放棄が無効だとして訴訟を提起されるのではないか。
4 提案及び実行
⑴ ①強制執行の対応
ア 提案
すでに強制執行の通知が届いているため、債権者に対してできるだけ早く対応する必要がありました。
そのため、すぐに債権者に対して通知する必要があるということを伝えました。
イ 実行
依頼の翌日、まずは弁護士から債権者に対し相続放棄をする旨の通知をしました。
さらに債権者に対し、今後は弁護士に連絡をするように伝え、これ以上依頼者に連絡が来ないようにしました。
その結果、債権者から直接依頼者に対して連絡がくることはなくなり、依頼者が債権者からの催促におびえることもなくなりました。
⑵ ②相続放棄の申述
相続放棄の申述は、「相続の開始を知った時から3か月以内」に行う必要があります。
今回で言えば、お父様が亡くなった日に依頼者は「相続の開始を知った」といえますから、お父様が亡くなった日から3か月以内に相続放棄の申述を行わなければなりませんでした。
依頼者が相談に来られた時には、お父様が亡くなってから少し時間が経っていましたが、急いでお父様の出生から死亡までの戸籍や住民票の除票、依頼者の戸籍謄本等、相続放棄に必要な書類を集め、期限内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことができました。
その後、家庭裁判所から照会書(相続放棄が本当に本人の意思でなされたものかを確認するための書面)が依頼者のもとに届きましたが、照会書の書き方をアドバイスし、家庭裁判所に提出すると、相続放棄の申述が無事受理されました。
そして、裁判所から相続放棄が完了したことを示す、相続放棄申述受理通知書が送られてきたため、債権者に対し相続放棄が完了したことの通知を送りました。
⑶ ③相続放棄が認められた後の対応
ア 提案
今回はお父様の借金の額が高く、相続放棄が裁判所で認められた後も、債権者から裁判を起こされる可能性が高い事案でした。
そのため、後々、裁判を起こされる可能性を見越して、今から必要な資料、情報の収集をしていくことを提案しました。
イ 実行
今回、葬儀費用を遺産から支払ったことなどを理由として、相続放棄が無効となる可能性がありました。
これに対応するために、当法人にこれまで蓄積されてきた知識やノウハウを活かし、本件で必要となる証拠や情報の収集を行いました。
具体的には、預金の履歴だけでなく、葬儀費用の領収書や明細書、葬儀費用の相場に関する情報等を取得しました。
もっとも、結果的に債権者から依頼者のもとへ請求書や訴状が届くことはなかったため、依頼者は無事に自己破産をすることなく、お父様の債務から解放されました。
5 さいごに
今回のケースでは、無事に期限内に相続放棄の申述をすることができたため、依頼者はお父様の借金の支払いを免れることができました。
しかし、もし、「お父様の作った借金だから私に支払い義務はない」と安易に考えてしまい、3か月の期限を徒過してしまっていたら、相続放棄をすることもできず、依頼者は自己破産をしなければならなかった可能性があります。
亡くなった親族に借金があった、亡くなった親族の借金について請求書が届いたといった場合には、相続放棄について早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
受付時間
平日 9時~21時、土日祝 9時~18時
夜間・土日祝の相談も対応します
(要予約)
所在地
〒453-0015愛知県名古屋市中村区
椿町18-22
ロータスビル4F
(愛知県弁護士会所属)
0120-41-2403
相続放棄をお考えの方へ
預金や土地などを相続するのであれば、借金なども相続しなければならないのです。
こうなると、「マイナスの財産の方が多いのであれば相続したくない」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合は「相続放棄」の手続きをすることで、財産を一切受け継がないものとすることができます。
しかし、相続放棄をするためには、原則として、ご親族が亡くなったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所での手続きを行う必要があります。
期限が過ぎると基本的に相続放棄ができなくなってしまいますので、できるだけお早めに相続放棄に詳しい弁護士へご相談ください。
また、相続放棄が可能な期間内にご意向が固まらない場合は、裁判所に検討期間の延長を申し出ることができます。
弁護士にご依頼いただければ、期間延長の手続きをさせていただくこともできますので、名古屋で相続放棄をお考えの方は、まずはお気軽に当法人までご相談ください。
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