相続放棄と空き家に関するQ&A

文責:弁護士 森田清則

最終更新日:2025年05月27日

相続放棄と空き家に関するQ&A

Q相続放棄をした場合、遺産である空き家はどうなりますか?

A

 次の順位の相続人に、所有権が移ります。
 相続放棄をすると、その方は最初から相続人ではなかったことになります。
 よって、相続放棄をして、次の順位の相続人がいる場合は、その相続人に空き家の所有権も移ります。
 相続人の順位は、1位が子や孫、2位が両親や祖父母、3位が兄弟姉妹や甥姪です。

Q次の順位の相続人がいない場合は、どうなりますか?

A

 最終的には、空き家は国の所有物になります。
 相続人が全員相続放棄をすれば、遺産は、最終的には国が取得します。
 空き家についても同様に、最終的には国が取得します。

Q相続放棄をすれば、自動的に空き家の所有権が国に移りますか?

A

 特別な手続きを行わないと、空き家の所有権が国に移ることはありません。
 遺産を国の物にするためには、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
 相続財産清算人は、遺産を整理して、遺産の最終的な帰属を決める役割を担っています。
 ただ、相続財産清算人の選任を申し立てる場合、裁判所に数十万円程度のお金を納める必要があることが多いため、注意が必要です。

 従前は、上記のとおり相続財産清算人の選任申立てが必要でしたが、令和5年4月施行の相続土地国庫帰属法による引き取りが始まったことにより、場合によっては、相続財産清算人の選任申立てをすることなく国庫帰属が可能となりました。

 建物を取り壊して更地となった土地であれば、一定の要件を満たすことにより国庫帰属が可能となりました。

 ただ、申請者には負担金が発生しますので、国庫帰属を検討する場合には、土地の所在地を管轄する法務局(地方法務局)に確認してみてください。

Qとりあえず、相続放棄をすれば、空き家はそのままにして問題ないですか?

A

 空き家を放置しておくと、法的な責任を負う可能性があります。
 相続放棄をしても、全ての責任を免れるわけではありません。

 令和5年の民法改正により、管理責任の有無等が変わりました。

 民法改正以前は、相続放棄した方は、他の相続人が管理できるまで、もしくは相続財産管理人が選任されるまで管理責任を負うとされていました。

 これに対し、民法改正により、相続放棄時点で相続財産を実際に占有していた相続人は保存義務を負うとされました。

 つまり、被相続人名義の不動産に被相続人と同居していた場合には保存義務を負う一方、被相続人と別居していた場合など、実際に占有していなければ、保存義務を負わないとされたのです。

 相続放棄時点で相続財産を実際に占有していた相続人は、保存義務(従前の管理義務と実質的には異ならないと考えられる)を負うこととなり、 たとえば、空き家が倒壊して、隣家に被害が及んだり、通行中の方がケガをしたような場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。
 定期的に空き家のメンテナンスをしたり、場合によっては、倒壊を防ぐための工事などが必要です。

Q空き家の固定資産税の支払いはどうなりますか?

A

 原則として、支払う必要はありません。
 相続放棄をした場合、空き家の所有権がないため、固定資産税を負担する理由はありません。
 そのため、役所に対し、相続放棄をした旨の説明をすることになります。
 ただ、相続放棄をした年の分については、例外的に固定資産税の支払いを求められる可能性があります。

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